星夜光、きみのメランコリー
一色くんの腕。手。指先。その全てが、神様から与えられたものなんだろう。
白黒だけでもこんなに生き生きしている。生き物みたいだ。これに色がついたら、どんな世界が描けるのだろう。
「一色くん、すごいねぇ!天才だね!こんな人に自分を描いてもらえるなんて、この先一生ないことのような気がするよ!」
「…褒めすぎじゃない?」
また、呆れ顔。でもいいんだ。嘘なんてついていないから。
自分を描いてもらうことが、こんなにも嬉しいことなんて思わなかった。
「一色くんと、にーびーの鉛筆くんは大の友達なんですね!!」
「…友達って」
「いっつもポケットに入れて一緒にいるんですね!!」
「寂しい奴みたいに言わないでくれる?」
帰りに額縁を買って帰る。そしてこの絵は、あたしの部屋の机の上に飾るんだ。
通りすがりだけど、ずっと見ていた王子にもらった宝物。それを適当に置いておく女子がどこにいる。
あたしだって、一応女の子だ。
「一色くんは、すごい世界に住んでるねぇ」
「…すごくないよ。白黒だし」
「白黒?」
「そう」
白黒。鉛筆で描いたからってことかな。
それでも、すごいと思う。白黒とかそうじゃないとか、そういうことじゃなくて。
そんな、次元じゃなくって。
「…白黒でも、一色くんはすごい」
頭もあまり良くないし、言葉も持ち合わせていないから、そんなことしか言えないけど。
それでも、この感動が一色くんに伝わればいいと思った。