きみだけに、この歌を歌うよ
「え……なに?デートぉ?」
いつの間にそんな噂が流れてたの?
ぜんぜん知らなかった。
「あれ、やっぱりガセネタ?」
そう聞き返してきた愁は、なんだか少し嬉しそうだ。
「ガセネタ……では、ないかも…」
デートをしてるわけではないけれど。
この浜辺で、九条くんと会っているのは本当のことだから。
「じゃあマジでデートしてんの?」
愁の顔から笑顔が消えた。
そう聞き返してきた愁は、表情に不安を浮かべていた。