きみだけに、この歌を歌うよ
「なに笑ってんだよっ!菜々のこと、影で可愛いって言ってるやつはいるんだからな!いつか菜々が誰かに取られたりしないか心配なんだよ!」
「え〜、ぜったいいないでしょ?私、ぜんぜんモテないよ?」
「いるんだよ、バカ!少しは自覚しろ!」
私を可愛いって目で見てる人がいるなんて、まったく思えないし気付かないんだけど…。
そんなのありえないって、笑い転げていると突然。
がしっと、愁に左手の手首を掴まれた。
「わぁっ、びっくりした!なにっ?いきなりどうしたの…?」
驚いて愁をみると、愁の顔がすぐそこにあって。
目が合ったその瞬間に、愁にぐいっと抱き寄せられた。