きみだけに、この歌を歌うよ
「ほんとに……?また歌ってくれるの?」
「うん。1ヶ月後のイベントは、母さんもすげぇ楽しみにしてたからな。リハビリ頑張って、ステージに立つよ」
九条くんが頷いた瞬間、また涙がどっと溢れてくる。
それは悲しい涙が、嬉しい涙に変わった瞬間だった。
「うんっ……うん!私っ、応援する!もうほんとにっ、全力で応援するからっ!」
私の気持ち、届いてたんだ。
九条くんの歌声が大好きだっていう強い気持ちが、九条くんの心を動かすことができたんだ。
「おう。菜々の応援があれば頑張れるわ」
「任せてよ!私が応援団長だからね!」