きみだけに、この歌を歌うよ




ドン、ドン、ドン……。

次の日。

19時30分になると、窓の外が騒がしくなってきた。

花火が打ち上がる音と、たくさんの人の歓声が窓の向こう聞こえる。



読んでいた恋愛小説を閉じて、さっと椅子から立ち上がってがらがらっと窓を開けてみた。



浜辺には、シートをひいて海上にあがる花火を眺めているすごい数の人だ。

今年もはじまった。

こうして花火を眺めていると、愁と一緒に眺めた1年前を思いだす。



『こうやって見てみると、やっぱ綺麗だな』



そう言って笑った、愁の横顔を。



< 481 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop