きみだけに、この歌を歌うよ
ドン、ドン、ドン……。
次の日。
19時30分になると、窓の外が騒がしくなってきた。
花火が打ち上がる音と、たくさんの人の歓声が窓の向こう聞こえる。
読んでいた恋愛小説を閉じて、さっと椅子から立ち上がってがらがらっと窓を開けてみた。
浜辺には、シートをひいて海上にあがる花火を眺めているすごい数の人だ。
今年もはじまった。
こうして花火を眺めていると、愁と一緒に眺めた1年前を思いだす。
『こうやって見てみると、やっぱ綺麗だな』
そう言って笑った、愁の横顔を。