きみだけに、この歌を歌うよ
真新しい九条くんの家は、玄関をあけた瞬間から新築ならではの木の匂いがした。
「おじゃまします……」
「こっちこっち」
階段を上がっているときも、廊下を歩いているときも同じ木の匂い。
振り返りもせず進む九条くんのあとを、緊張しながら歩いた。
「うわぁ……すごーいっ!」
3階へ続く階段の先にあるガラス戸をひくと、そこは10畳はありそうな広々としたスカイバルコニーになっていた。
「私の部屋の窓から見るよりもぜんっぜんいい!花火も星も、より近くに感じるからいいね」