きみだけに、この歌を歌うよ
会話が途切れると、九条くんも私も空を仰ぐ。
「わ……水中花火だ、きれい…」
「おぉ〜、すげぇ迫力だな」
広い海の上に、大きな半円形の花火が次々と現れた。
その上空では、ハートマークだったりスマイルだったり、可愛い花火も打ち上がっている。
九条くんと一緒に、こうして花火を見られるのもこれが最初で最後になるのかな…。
そんなことがふと頭をよぎってしまって、切ない気持ちがぶわっと溢れてきた。
「このまま……時間が止まればいいのにな」