神様修行はじめます! 其の五のその後
 いきなりビタッと絹糸の落下が止まって、一瞬フワッと体が浮く感じがした。


 振り落とされないように、慌てて両手で絹糸の体毛を鷲掴む。


 ……あ、ちょっと毛が抜けちゃった。


「穴爪ネズミ、確保しましたわ!」


 上から落っこちてきた穴爪ネズミを、お岩さんが両手でナイスキャッチする。


 その刺激で穴爪ネズミの意識が戻って、両目がポカリと開いた。


「…………」


 真っ黒い小さい目をキョトンとさせたネズミが、モグラそっくりの爪と短いしっぽをバタバタ動かして、お岩さんをジッと見上げている。


 どうやら命の恩人のお岩さんに感謝してるみたい。


「んまあ」


 その様子を見ていたお岩さんの頬がみるみる染まって、瞳がキラキラ輝き出した。


 あ、このパターンって。


「なんっっって可愛らしいのでしょう! とても素晴らしい生き物ですわ! わたくし、こんなの見たことありませんわ!」


「……そりゃ希少種だからね」


「わたくし、この子に強烈なシンパシーを感じました。この出会いは間違いなくディスティニーです!」


「はいはい。運命ね」


「ぜひこの子にふさわしい名前を、わたくしの持てる全力で授けなければなりませんわ!」


 手の中の穴爪ネズミを上から眺めたり、下から眺めたりしながら、お岩さんは熱心に考え込んでいる。
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