神様修行はじめます! 其の五のその後
 即座に意識を集中して、もう一度滅火の炎をおみまいしてやった。


 再び赤い炎が立ち昇り、鬼たちの体を包み込む。


 でもしばらくすると、また鬼の邪気に吸い込まれるように炎がスーッと消滅してしまった。


 鬼たちがジリジリとあたしに近寄ってきて、あたしもジリジリと後退する。


 な、なんかあんまり効果なくない? いや、諦めずにチャレンジだ!


 ―― ゴッ……!


 鬼たちは真っ赤な炎の中でも歩みを止めず、一歩一歩、確実にあたしに向かって来る。


 やっぱり効いてない……。炎の中でもこんなに平然としていられるなんて。


 人間に使役されていない鬼って、こんなに厄介な存在なんだ。


 連中の血走った目と瘤だらけの醜い姿から、強い怒りの気配がユラユラと立ち昇っている。


 こいつら、あたしを狙ってる。小うるさいあたしを一番最初の獲物に定めたんだ。
 

 厄介な相手に集団ロックオンされてしまった恐怖心が、じわじわと心を侵食する。


 殺戮の気配を身にまとって近づいてくる鬼を前に、なんの手も打てない。


 ど、どうしよう。あんなのに集中攻撃されたら対応しきれない。


 来る。こっちに来ちゃうよ……!
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