神様修行はじめます! 其の五のその後
 その瞬間、目が潰れそうな雷撃が鬼たちを一斉に襲った。


 同時に絹糸が飛び込んできて、あたしの目前まで近づいていた鬼に食らいつき、なぎ倒す。


 凄まじい唸り声を上げて牙を剥き合いながら、絹糸と鬼は地面をゴロゴロと転がっていった。


 息を呑んで立ち尽くすあたしの全身に、身震いするほど冷たい風が吹きつける。


 すると1匹の鬼の体が、みるみると分厚い氷に包まれて動きを停止した。


「天内さん! 逃げてください!」


 印を組んだ凍雨くんが叫んでいる。でもその声も終わらないうちに、氷は大きな音をたてて粉々に砕かれてしまった。


 氷から解放されて動き出した鬼の足に、そうはさせじと一本の太いツタが巻きつく。


「天内のお嬢様、お逃げください!」


 全身血だらけのセバスチャンさんが立ち上がり、お岩さんと凍雨くんを背後に庇いながら叫ぶ。


「せ、セバスチャンさん! 凍雨くん!」


「お嬢様の滅火の術で、多少ですが鬼の力が弱っています。なんとか我らで抑えますから、今のうちに!」


「でも……!」


 あたしの声は地の底から伝わる地響きと、地面が大きく砕かれる音に掻き消された。


 土中から姿を現した巨大ミミズが、その見上げるほどの巨体で鬼を押し潰す。


 ジュリエッタだ! お岩さんが召喚してくれたんだ!
< 76 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop