神様修行はじめます! 其の五のその後
「うがあ! があぁぁ――!」


 しま子は大きな手で、自分の体に組み付いている鬼の首を引っ掴み、片手で放り投げた。


 でもすぐに別の鬼がしま子に襲いかかり、鬼の牙で深々と食らいつく。


 それを引き剥がそうとする腕に別の鬼が食らいつき、無防備な背中を狙った鬼がメチャクチャに爪で斬りつける。


 集中攻撃を受けたしま子の体のあちこちから鮮血が噴き出した。


「しま子! しま子――!」


 叫ぶばかりで、あたしにはどうにもできない。


 ついにしま子は力尽き、地面に倒れ込んでしまった。


 その体に鬼たちが牙を剥いて一斉に食らいつき、まるで噴水のようにしま子の体から赤い血が噴き出す。


 あたしの全身から血の気が引いて、涙がドォッと噴き出した。


「嫌ぁー!」


 しま子が死んじゃう! せっかく戻ってきてくれたのに!


「しま子ぉぉ――――!」


 ―― キィ……ン!


 泣き声が凍りつくかと思うほど、周囲の気温が急激に冷えた。


 冷たい空気を吸い込んだ肺が痛んで、息が詰まる。あまりの寒さに全身がギュッと収縮したような気がした。


 凍ったように立ち尽くしていると、いきなり目の前に数本の氷柱が横っ飛びに飛んできた。


 そしてしま子に群がっていた鬼たちを次々と吹っ飛ばす。


 地面に激突した鬼たちの体に真っ白な霜が浮き上がり、それがみるみる小山のように盛り上がって、強固な氷の山となった。


 ビルみたいな巨大な氷の山を見上げながら、あたしは凍りついた口を開いて目をパチパチさせた。
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