神様修行はじめます! 其の五のその後
「遅いと文句を言われても、伝書亀から連絡を受けてすぐにここへ転移してきたんだよ」
門川君はガレキの山からヒラリと飛び降りた。
「とは言え、宝物庫に寄ってきた分、少々遅くなったのは事実だが」
「宝物庫?」
「ああ。戦わずして鬼たちを異界に戻す」
そう言って門川君は、袖の袂から水晶のような透明な珠を数個取り出した。
「僕は一度行った場所なら転移の術が使える。だが目的地はなんといっても異界だ。門川の宝物の力を借りなければならない」
彼の指と指の間に挟まれた透明な珠が、蛍のように同時に点滅し始める。
「前回の事件で、小浮気一族と宝物庫の目録整理をしたおかげでこれがすぐ見つかった。助かったよ」
点滅がどんどん速くなり、光も強くなる。門川君の顔が煌々と照らされて美しい陰影を生んだ。
なにかの力が珠から目覚めて、それがどんどん凝縮しているのを肌で感じる……。
―― バ――――ン!
とつぜん硬質な物質が破壊される音がして、ぼうっと宝珠に注目していたあたしはハッとした。
門川君の氷のドームが粉々に砕かれて、まるで噴霧器で吹き散らされた粉雪みたいに四方八方に飛び散っていく。
「わっ!?」
両手で頭を抱えてしゃがみこんでいたら、砕かれた氷の山の中から鬼がムクムクと起き上がった。
門川君はガレキの山からヒラリと飛び降りた。
「とは言え、宝物庫に寄ってきた分、少々遅くなったのは事実だが」
「宝物庫?」
「ああ。戦わずして鬼たちを異界に戻す」
そう言って門川君は、袖の袂から水晶のような透明な珠を数個取り出した。
「僕は一度行った場所なら転移の術が使える。だが目的地はなんといっても異界だ。門川の宝物の力を借りなければならない」
彼の指と指の間に挟まれた透明な珠が、蛍のように同時に点滅し始める。
「前回の事件で、小浮気一族と宝物庫の目録整理をしたおかげでこれがすぐ見つかった。助かったよ」
点滅がどんどん速くなり、光も強くなる。門川君の顔が煌々と照らされて美しい陰影を生んだ。
なにかの力が珠から目覚めて、それがどんどん凝縮しているのを肌で感じる……。
―― バ――――ン!
とつぜん硬質な物質が破壊される音がして、ぼうっと宝珠に注目していたあたしはハッとした。
門川君の氷のドームが粉々に砕かれて、まるで噴霧器で吹き散らされた粉雪みたいに四方八方に飛び散っていく。
「わっ!?」
両手で頭を抱えてしゃがみこんでいたら、砕かれた氷の山の中から鬼がムクムクと起き上がった。