婚活女子とイケメン男子の化学反応
~零士side~
「まさか零士が父親になるだなんてね~なんだか信じられないわ~。鈴乃さん、ありがとね! 零士を男にしてくれてホントにありがとう! 足臭いの我慢してくれてありがとね~~」
麻里奈が鈴乃の手を握りながらフフフと笑う。
鈴乃は困惑気味に笑いながら、繰り返されるふざけた言葉にコクコクと頷いていた。
先週、麻里奈に鈴乃の妊娠を報告したら、さっそくこの週末、仙台から兄貴と共にやって来た。
そして、手土産のワインと日本酒をひとりで空けて今に至る。
「兄貴さ、悪いけど、この酔っ払いを早く連れて帰ってくんないかな。鈴乃は今、大事な時期だし、すっごく迷惑なんだけど」
俺の言葉に、鈴乃が慌てて首を振る。
「零士さん、私なら悪阻も治まってるし大丈夫だよ。全然迷惑じゃないし、こんなに喜んでくれてる麻里奈さんにそんな言い方は失礼だよ」
「鈴乃さ~ん、ありがとね~。もう、零士はほんっと薄情なんだから。せっかく二人の幸せを喜んであげてるのにあんまりじゃないの~!」
麻里奈がワンワン泣き出した。
そう。こいつは昔から、酔うと喜怒哀楽が激しくなるのだ。
「なあ、零士。今日だけは大目に見てやってくれないかな。麻里奈はさ、いつもおまえと鈴乃さんのことを自分のことのように心配してるんだよ。だから、鈴乃さんが妊娠したって聞いて嬉しくてつい飲んじゃったんだと思う。そうだよな? 麻里奈」
「うん、うん。そうなの、英士~」
麻里奈は可愛く頷くと、兄貴の胸に抱きついた。
兄貴も愛おしそうに目を細めながら、ヨシヨシと麻里奈の頭を撫で始めた。
はいはい。
分かってるよ。
麻里奈が俺と鈴乃のことで負い目を感じているのは知っているし、鈴乃の体さえ大丈夫なら俺は何も言えない。
「もう分かったから、そこでイチャつくのはやめろ。身内のそういうの見るの気持ち悪いから」
「はあ? 何言ってるの。こっちだって、同居中あんたのデレ顔見せられて気持ち悪かったんだから。「鈴乃~」なんて、いい大人がバカみたいに甘えた声出しちゃってさ」
麻里奈が顔を上げて言い返してきた。
「おまえな」
「零士さん!」
鈴乃にジロリと睨まれた。
仕方なく引き下がると、突然麻里奈が「そうだ」と呟いて、紙袋から何かを取り出した。
そして、
「ジャーン! 見て、見て~!!」
ニヤリと笑いながら麻里奈がテーブルの上に置いたのは、俺の中学時代の卒業アルバムだった。
その瞬間、体中から嫌な汗が流れ落ちた。
この中には俺の黒歴史が写っているからだ。
「実はお義母さんにね。零士の所に行くなら持って行ってくれって頼まれたのよ。このアルバムだけ零士が持って行かないって言ってたわよ。フフフ。鈴乃さんも見る~?」
麻里奈は鬼の首を取ったように俺を見た。
間違いなく確信犯だろう。
「バカ、よせ、麻里奈。ふざけんな!」
こんなの鈴乃に見せられる訳がない。
俺は麻里奈から急いで取り上げた。
けれど、
「へえ~、俺も見たいな」
「あ…」
麻里奈から奪ったアルバムは、兄貴の手に渡ってしまった。
鈴乃も興味深々な表情でアルバムを見つめている。
「零士、覚悟してね」
麻里奈が悪魔のような顔で笑い、問題のページが開かれたのだった。
「まさか零士が父親になるだなんてね~なんだか信じられないわ~。鈴乃さん、ありがとね! 零士を男にしてくれてホントにありがとう! 足臭いの我慢してくれてありがとね~~」
麻里奈が鈴乃の手を握りながらフフフと笑う。
鈴乃は困惑気味に笑いながら、繰り返されるふざけた言葉にコクコクと頷いていた。
先週、麻里奈に鈴乃の妊娠を報告したら、さっそくこの週末、仙台から兄貴と共にやって来た。
そして、手土産のワインと日本酒をひとりで空けて今に至る。
「兄貴さ、悪いけど、この酔っ払いを早く連れて帰ってくんないかな。鈴乃は今、大事な時期だし、すっごく迷惑なんだけど」
俺の言葉に、鈴乃が慌てて首を振る。
「零士さん、私なら悪阻も治まってるし大丈夫だよ。全然迷惑じゃないし、こんなに喜んでくれてる麻里奈さんにそんな言い方は失礼だよ」
「鈴乃さ~ん、ありがとね~。もう、零士はほんっと薄情なんだから。せっかく二人の幸せを喜んであげてるのにあんまりじゃないの~!」
麻里奈がワンワン泣き出した。
そう。こいつは昔から、酔うと喜怒哀楽が激しくなるのだ。
「なあ、零士。今日だけは大目に見てやってくれないかな。麻里奈はさ、いつもおまえと鈴乃さんのことを自分のことのように心配してるんだよ。だから、鈴乃さんが妊娠したって聞いて嬉しくてつい飲んじゃったんだと思う。そうだよな? 麻里奈」
「うん、うん。そうなの、英士~」
麻里奈は可愛く頷くと、兄貴の胸に抱きついた。
兄貴も愛おしそうに目を細めながら、ヨシヨシと麻里奈の頭を撫で始めた。
はいはい。
分かってるよ。
麻里奈が俺と鈴乃のことで負い目を感じているのは知っているし、鈴乃の体さえ大丈夫なら俺は何も言えない。
「もう分かったから、そこでイチャつくのはやめろ。身内のそういうの見るの気持ち悪いから」
「はあ? 何言ってるの。こっちだって、同居中あんたのデレ顔見せられて気持ち悪かったんだから。「鈴乃~」なんて、いい大人がバカみたいに甘えた声出しちゃってさ」
麻里奈が顔を上げて言い返してきた。
「おまえな」
「零士さん!」
鈴乃にジロリと睨まれた。
仕方なく引き下がると、突然麻里奈が「そうだ」と呟いて、紙袋から何かを取り出した。
そして、
「ジャーン! 見て、見て~!!」
ニヤリと笑いながら麻里奈がテーブルの上に置いたのは、俺の中学時代の卒業アルバムだった。
その瞬間、体中から嫌な汗が流れ落ちた。
この中には俺の黒歴史が写っているからだ。
「実はお義母さんにね。零士の所に行くなら持って行ってくれって頼まれたのよ。このアルバムだけ零士が持って行かないって言ってたわよ。フフフ。鈴乃さんも見る~?」
麻里奈は鬼の首を取ったように俺を見た。
間違いなく確信犯だろう。
「バカ、よせ、麻里奈。ふざけんな!」
こんなの鈴乃に見せられる訳がない。
俺は麻里奈から急いで取り上げた。
けれど、
「へえ~、俺も見たいな」
「あ…」
麻里奈から奪ったアルバムは、兄貴の手に渡ってしまった。
鈴乃も興味深々な表情でアルバムを見つめている。
「零士、覚悟してね」
麻里奈が悪魔のような顔で笑い、問題のページが開かれたのだった。