俺様社長に甘く奪われました
◇◇◇
その週の日曜日。
休みということもあり十時過ぎまでゆっくりベッドで過ごしていた莉々子は、シャワーを浴びてブランチをとっていた。メイプルシロップとシュガーパウダーをたっぷりかけたフレンチトーストは、休日のお決まりのブレックファーストだ。
半分ほど食べ終え、ベルガモットが強く香るアールグレイを優雅に飲んでいたときだった。ベッドサイドに置いたままのスマホが着信を知らせて音を響かせる。「はーい」と言いながら急いで手にした莉々子は、そこに表示された名前にドキッとさせられた。望月だったのだ。
マンションへ行ったときに連絡先は交換したが、あまりにもぼんやりとしていたせいで、その記憶が封じ込められていたようだ。
出ようか出まいか悩んでいる間にも粘り強く鳴り続ける。
(……こうしてスマホを睨んでいても始まらないかな)
意を決してスマホの応答をタップして耳にあてた。
『寝てたのか?』
莉々子が言葉を発するより早く望月が口を開く。