俺様社長に甘く奪われました
そうしたところでタイミングよく部屋のチャイムが鳴る。ドアを開けると、そこには本当に望月がいて、莉々子はなんとも不思議な気分になった。
日曜日だというのにスーツ姿。薄いブルーのワイシャツにブラウンのスーツ、ネクタイはスーツと同じ色味のベースに水色のドット柄だった。
「おはよう」
「……おはようございます」
「あがっていいか?」
莉々子が返事をするより早く、望月は玄関に入り靴を脱いだ。
彼女の部屋は玄関と直結してダイニングキッチンと小さいリビングがあり、引き戸一枚隔てたところにベッドルームがある。その引き戸を開け放ったままだったので、玄関からは部屋全体が丸見えだ。
望月は「ほう、結構綺麗にしてるんだな」と言いながら、ダイニングテーブルにあったフレンチトーストをひょいと指でつまむ。
「あっ、待っ……」
時すでに遅し。制止しようと莉々子が動きかけたときには、望月の口の中だった。
(私のごはんが……)
呆気にとられて莉々子が立ちすくむ。