俺様社長に甘く奪われました
そうされると無下にもできないが、かといって莉々子も困る。
「そ、それは気の毒だなとは思います。でも、それが宿命というか……仕方ないことのようにも……」
会社の発展のために政略結婚するのは、お金持ちの世界ではよくあることだろう。家柄や肩書きなどの見栄の張り合いだ。
「俺は自分の人生を仕方ないというひと言で済ませるつもりは、これ以上ないんだ」
望月がきっぱりと言い切る。
(これ以上って? 今までなにかを我慢してきたことが社長にはあるの?)
莉々子にしてみれば、思うままに生きてきたようにしか思えない望月が、そのような我慢をしてきたとはとても考えられなかった。
「これまで好きに生きていらしたんじゃないんですか? 私とはレベルの違う世界で好きなように」
それなのに結婚に関してはワガママを聞いてほしいとは、ちょっと自分勝手な気がしてしまう。一般論で言えば、人生が思うようにいかない人間は大半だろう。