俺様社長に甘く奪われました
莉々子の放った言葉に望月の顔が曇る。
(ちょっと言いすぎてしまったかも……)
実のところを言ってしまえば、元彼への恨みが今の言葉に込められていることも莉々子は否定できない。
「これまでの人生を否定するのは確かに都合がよすぎるかもしれない。だが、そうしたいと思う出会いがあったから、そうせずにはいられないんだ」
不意を突いてたじろいでしまうほどの望月の真っ直ぐな目に見つめられ、莉々子はなにも言えなくなってしまった。
(その出会いって、まさか私……?)
大きく跳ねた鼓動が早鐘のように鳴り響く。そんなことを言われて動揺しないほうがおかしいだろう。
「とにかくここまで来たんだ。頼むから一緒にきてくれ」
熱心に口説かれて揺れ始める莉々子の心。望月に平身低頭そこまで言われ、どんどん心がいっぽうに傾いていく。目の前の望月が、ほんの少しだけかわいそうだと思ってしまった。
「……わかりました。そのかわり……」
「そのかわり?」