俺様社長に甘く奪われました
彼の胸でそっと囁いた瞬間、望月の腕が莉々子をきつく抱き留めた。
金持ちはもう懲り懲りだと思ってきた。望月に好意を示されても、なびくものかと突っぱねてきた。それなのに望月の優しい顔や、どこか危うい一面を見せられて、莉々子は知らぬ間に惹かれていたのだ。
その顔を曇らせるようなことから守りたい。三年前のあの夜に、不幸のどん底にいた莉々子に温かい手を差し伸べてくれた望月のように。莉々子はそう思ってしまった。
「それはイエスととっていいんだな?」
そっと莉々子を引きはがした望月が、真っすぐに彼女を見つめる。莉々子がうなずくと同時に唇は塞がった。
触れては離れる優しいキスが莉々子の心を溶かし、昔の恋の傷が癒されていく。徐々に深くなる口づけが、忘れていた愛しさを莉々子に思い出させる。気づいたばかりの恋心が、唇を重ねるごとに大きく膨らんでいった。
抱き上げられてベッドへと連れられ、綺麗にベッドメイクされたシーツに下ろされる。ワイシャツを脱ぎ去った望月のよく引き締まった身体が、ベッドサイドの明かりに照らされ、莉々子の胸を高鳴らせた。
「やっと手に入れられた」
望月の切なすぎる声が莉々子の耳に甘く響く。
洋服の中に潜り込んだ手が、素肌をいたずらに撫でていく。その間にも止むことのないキスが、莉々子から理性を少しずつ飛ばしていった。