俺様社長に甘く奪われました
◇◇◇
思いがけず濃厚な時間を過ごした莉々子は、ベッドで望月の腕に抱かれながら、まだその余韻に浸っていた。髪をすく彼の指先が心地良くて、今にも眠ってしまいそうになる。
「莉々子」
そう呼ぶ声が、身体を重ねる以前よりも甘くなった気がする。その声だけで胸がドキドキする莉々子は、すっかり望月の虜になってしまったようだ。
「もう一回呼んでください」
「莉々子」
「もう一回」
「……しつこいぞ」
莉々子は望月に鼻を軽くつままれた。
「もっと呼んでほしけりゃ、俺の名前も呼べ。俺の名前は社長じゃない」
「社長は社長ですから、気安く名前では……」
「それじゃ、俺も莉々子と呼ぶのはよそう」
「え、どうしてですかっ」
思わず上体を起こして莉々子は望月に抗議する。今までさんざん呼んできたのにそれはないだろう。