俺様社長に甘く奪われました

「そんなこと……!」
「私に隠し事をしようとしても無駄だよー。全部お・み・と・お・し」


 真紀はニコニコしながら、人差し指を立ててリズムをつけた。
 彼女には本当に見透かされていそうだ。心を読み取られているんじゃないかとすら莉々子は思ってしまう。


「ほら、話しちゃいなって」


 真紀にはいつまでも黙ったままではいられないだろう。遅かれ早かれ話すことになるのなら、今白状しても同じ。


「……実は……付き合うことに……」
「やっぱりそうかぁ。莉々子に話を聞いたときから、そうなるだろうなとは思ったんだけどね」


 先見の明がありすぎる。莉々子自身は絶対にないだろうと思っていたのだから。


「でも莉々子がまた恋しようと思えてよかった。いつまでも元彼のことを引きずっていても仕方ないもん」
「そうだよね……」


 莉々子はやっと大きな一歩を踏み出せたような気がする。

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