俺様社長に甘く奪われました
あまりにも突然で、あまりにも急激。だが、心に確かに存在する想いに嘘はない。
「でも、奏多さんはどうして暗闇が苦手なんですか? あ、もちろん話したくないなら無理には聞きませんが」
「小さい頃、母親が夜も働きに出ていたから、家にひとりでいることが多かったんだ。ある夜、近くでやっていた電気工事のトラブルで停電になったことがあって、ひとり布団の中でガタガタ震えてた。それ以来、暗闇は天敵だ」
「そうなんですね……」
そういうわけで暗いのが怖いのかと、莉々子は納得する。
「今夜は電気消して寝てみませんか?」
「無理だ」
「私が一緒でもですか? 奏多さんのことをずっとギュッてしていますから」
もちろん強制はしない。恋愛恐怖症になっていた自分を奏多が救ってくれたから、今度は莉々子の番だ。
しばらく考えるように黙り込んでいた奏多は、ベッドサイドに手を伸ばしてリモコンを取る。そしてボタンを何度か押して、部屋の明かりを徐々に落としていった。
「莉々子、どこへも行くなよ」
「……行きません」
そう答えると、奏多は莉々子を強く引き寄せた。
首を伸ばして、その唇に莉々子からそっと口づける。
「朝までキスしていますか?」
「朝まで拷問に耐え抜けって?」
「……無理、ですね」
「無理だ」
ふたりで笑い合って、もう一度だけ唇を重ねた。