俺様社長に甘く奪われました

 総務部内に視線を移してみれば、志乃はデスクに着いたまま莉々子を見ていた。どことなく複雑な表情をしているようにも見えたが、莉々子と目が合うとふっと微笑んだ。きっと志乃にもものすごく心配を掛けてしまっただろう。


「志乃さん、すみませんでした」


 自分のデスクに着く前に莉々子が頭を下げる。


「私こそごめんね。私が最後まで片づけていれば、莉々ちゃんが怪我をしなくて済んだのに」
「でもそうしたら、志乃さんが怪我していたかもしれませんから、私でよかったです」


 志乃ならば、もしかしたら洗う前にひび割れに気づいたかもしれないが。


「もう大丈夫なの?」


 志乃は莉々子の右手にサッと視線を移してから見上げた。


「はい、大丈夫です」


 まだ絆創膏だらけだが、もともと深い傷ではない。

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