俺様社長に甘く奪われました

◇◇◇

「メールの一通も返さないって、いったいどういうこと?」


 不満一杯に莉々子に抗議をしてきたのは真紀だった。
 一緒になった社員食堂のテーブルで、頬を膨らませる真紀に莉々子が両手を合わせて「ごめんね」と謝る。


「怪我したって聞いて驚いたんだから! すぐに電話したのに出ないし、メールも返ってこないし。しょうがないから志乃さんのところに行ったら、たまたま居合わせた社長が病院に連れていったって聞いて」
「……本当にごめんね。大した怪我じゃなかったの」
「怪我の程度の問題じゃないの。心配だったんだから」
「はい……」


 真紀が怒るのも当然だ。莉々子が逆の立場でも、心配でたまらないだろう。莉々子は返す言葉もなくシュンとする。


「でもまぁ、社長が一緒だっていうから大丈夫だろうとは思ったけどさ」
「ごめんなさい」
「私のこと、忘れてたでしょ」
「……うん、ごめん。社長と今朝までずっと一緒だったから」


 正直に答えると、真紀は「このーっ!」と莉々子の髪をクシャッと撫でた。

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