俺様社長に甘く奪われました
奏多はそのリストをひとつずつ電話口で読み上げた。そしてさらに、なにやら料理の話もし始める。
「ああ、それじゃよろしく頼む。助かったよ、京介」
電話を切った奏多は莉々子に振り返り、「手配は完了だ」と信じられないことを言った。
「……どういうことですか?」
備品業者でもない京介が、いったいなにをどうしたというのか。
「京介はホテルの副社長だ。つまり、セレモニーに関してはプロ。ホテルにはもともとそういった備品類は揃っているだろうと見当をつけたというわけ。パーティー用の料理だってお手の物だろう?」
魔法でも使ったかのような展開に莉々子は言葉を失くす。
どこに電話を掛けても揃えられなかった備品を、そしてパーティー用の料理まで、奏多はたった一本の電話で用意してしまった。
「莉々子?」
呆然としている莉々子の顔の前で奏多が手をひらひらと振る。