俺様社長に甘く奪われました

「はい!」
「それではみなさん、あともうひと踏ん張り頑張りましょうね。進行はほかのスタッフの方たちと協力しましょう」


 木村の言葉にみんなが気合を入れてうなずいた。


 それからしばらくすると、奏多や取締役、アビーの人たちが続々と集結する。用意した二百脚のパイプ椅子は、ほぼすべてが埋まった。

 司会進行は木村。簡単な挨拶のあと、発注者である食品メーカー、アビーの専務が講演台に立ち開会の辞を述べた。
 そのすぐあとに奏多が前へ出る。


「本日はお忙しい中、当落成式にお集まりいただきまして誠にありがとうございます」


 奏多が挨拶をすると、出席者は一様に座ったまま頭を下げた。


「本物件のテナントであるアビーは、現在埼玉にあるセンターから行っている茨城方面への店舗配送を、この新千葉物流センターで行うことにより、輸送ルートの短縮化と合理化を図っていくことになります。輸送距離の削減により二酸化炭素の排出量を約十三パーセント削減。輸送会社の営業所を併設することで事業者間の連携を密にし、トラックの手持ち時間を約五十五パーセント削減することが可能に……」

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