俺様社長に甘く奪われました
「そうか」
デスクの上に手を組み、どこか満足そうにうなずいた望月は、彼女を見上げた。話の先を促すような空気を感じ取り、「ご都合のよろしいお時間は?」と莉々子が本題に戻す。
「できれば午前中で頼む」
望月の要望をひとつずつ書き留め、「承知いたしました」と莉々子が顔を上げたところで、なぜか彼がクスッと笑う。
(な、なんだろう……。私、どこか変なのかな)
「ちょっと来い」
どういうことなのかわからず、その場に立ち尽くす。
「ほら、来いって」
今度は手招きまでつけて莉々子を呼び寄せる。
わけがわからないまま、おずおずと椅子に座る望月に近づくと、彼はおもむろにハンカチを取り出し、それを莉々子の頬にそっとあてた。