俺様社長に甘く奪われました

「……痛っ」


 痛みを感じて足を見てみれば、破れたストッキングから血が滲んでいる。

(やだ、嘘……。私ってば、こんなところでなにしてるんだろう……)


「大丈夫ですか?」


 片膝を突いたような状態で莉々子がいると、通りすがりの若い女性が手を貸してくれ、なんとか立ち上がる。


「……ありがとうございます」
「これ、使ってください」


 その女性はバッグからポケットティッシュを莉々子に差し出した。
 それをありがたくもらい、傷口にあてる。


「どこかほかに痛いところはありませんか?」


 そう聞かれて両足をトンと突いて確かめたところ、擦りむいたところ以外は平気そうだった。


「……大丈夫みたいです。ありがとうございました」
「よかった。お大事にしてくださいね」


 その女性に頭を下げ、次に滑り込んできた電車にかろうじて乗り込んだ。


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