俺様社長に甘く奪われました
◇◇◇
さすがに絆創膏三枚は、スカートを履くと目立った。冬場ならタイツで誤魔化せたが、この時期ではそうもいかない。
そして想像したとおり、出勤早々、松永から突っ込まれてしまった。
「莉々子さん、今度はなにをやらかしたんですか?」
そんな言葉はないだろう。せめて、『大丈夫ですか?』と言ってほしい。
松永は腰をかがめて莉々子の膝に見入った。
「ちょっと駅の階段で転んじゃって」
「最近の莉々子さん、なんだか神様の恨みをかっている感じですね」
どこかからかうように言う。
「なにそれ……」
「だって、ハンドクリームはゴミ捨て場から出てくるし、コーヒーカップで怪我はするし、落成式の備品も料理もなぜかキャンセルになっちゃうし」
確かに言われてみればそうかもしれない。ここ二ヶ月の莉々子は、災難という災難が降りかかっている。それこそ一度きりの人生のうちの大半のアクシデントがあったのではないかと疑うくらいだ。