俺様社長に甘く奪われました

 タイミングよく青信号で道路を三度渡り、四つ目の大きなスクランブル交差点で赤信号とぶつかった。
 たくさんの人が立ち止まる中、最前列で青になるのを待つ。鼻先にポツリと雨粒を感じたそのとき。

 ――トン。

 背中を押された莉々子は、車道に一メートルほど飛び出してしまった。

 ――ププーッ!
 響くクラクション。
 迫る車。

 その直後――。


「莉々子!」


 叫びにも似た声で呼ばれると同時に、身体が宙に浮いたかと思ったら、莉々子は後ろにそのまま大きく転がった。


「……っ!」
「か、奏多さん!?」


 なぜかそこに奏多の姿があり、莉々子を抱きかかえた状態で歩道に揃って倒れる。奏多がクッション代わりになってくれたおかげで、莉々子自身はなんともない。信号が青に変わり、ふたりに視線を投げかけながら避けるようにして大勢の人がスクランブル交差点を渡り始めた。

< 250 / 326 >

この作品をシェア

pagetop