俺様社長に甘く奪われました
(今、私を誰にも渡さないって言ったの……? 嘘でしょ……)
信じがたい奏多の言葉が莉々子の心を大きく揺さぶる。
「……奏多さん、今の言葉は……本当ですか?」
震える唇で奏多を見上げる莉々子を、彼は手を引いて立たせたかと思ったらいきなり抱き締めた。
突然すぎて莉々子は言葉も出ない。ほんの数週間しか経っていないのに、込み上げる懐かしさに胸がいっぱいになる。莉々子が腕を回すと、奏多はさらにきつく抱き留めた。
「手のかかるふたりには困ったものだな」
呆れたような声をふたりに掛けたのは、ほかでもなく祥真だった。外国人のするリアクションのように両手を広げて肩をすくませる。
まるでこうなることがわかっていたかのような口ぶりに、莉々子と奏多は顔を見合わせた。
「なにがあったのかは知らないけど、俺に説教をして莉々子をさらっていったんだから、簡単に手離すような真似はしないでもらいたいよ」
「……演技だったの?」