俺様社長に甘く奪われました

 やり直したいと見せかけて押し倒したのは、奏多を引き付けるためだったのか。


「それじゃ、部屋のドアが完全に閉まらないようにドアガードを挟んであったのはわざとなのか」
「莉々子を襲っているところでも見せないと、あなたを煽れないだろうと思ってね」


 祥真は得意気に「なかなかいい演技だっただろう?」と笑った。

 そういえば……と莉々子が思い返す。莉々子を押し倒す直前、祥真が一瞬だけ部屋のドアへ視線を投げかけたのだ。あれは奏多が入ってきたことに気づいたからだったのかもしれない。


「最初から俺が来ることを見越していたのか……」
「莉々子が倒れたとき、目もくれずにあっさり立ち去った望月社長が握り拳を震わせていたのは知っていたからね。まぁ、どんな事情があろうとも莉々子を泣かせるような真似をしたことは許せないけどね」


 予想もしていなかった祥真の言動に、莉々子はただ立ち尽くすばかり。祥真がやけを起こして自分をここへ連れ込んだのだとしか思えなかったからだ。

 奏多もまた莉々子と同じことを考えていたようで、言葉を返せずにいた。

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