俺様社長に甘く奪われました
祥真のもたらせた思わぬ事態を莉々子はまだ完全には飲み込めていない。奏多がここにいる現実を受け止めきれず、心の半分以上は放心状態。祥真の姿が消えたドアを向いたまま立ち尽くしていると、奏多が莉々子の手をそっと握った。
「莉々子」
優しい声で呼んでもらったのは、どれくらいぶりだろう。ものすごく昔のことのように感じる。ゆっくりと奏多へ身体を向けると同時に引き寄せられ、莉々子は彼の腕に抱き込まれた。
「……莉々子、本当に悪かった」
切ない声が胸を締めつける。奏多にこうしてまた抱き締めてもらえて幸せだが、彼をここまで追い詰めたものに対する憤りが悩ましい。
「私を守るためって?」
なにがあったのか知りたい。奏多ひとりで抱え込むのではなく、自分にも分けてほしい。
奏多は莉々子の身体をそっと引き離し、両手を肩に置いたまま真剣な顔で見つめた。
「……別れなければ、莉々子に危害を加えると」