俺様社長に甘く奪われました
「えっ、私に危害を、ですか……?」
やはり莉々子は恨まれていたのだ。駅の階段もスクランブル交差点も、彼女の勘違いではなく、誰かの手によって故意に押されたことになる。
“別れなければ”ということは奏多を想う、ほかの誰かなのだろうか。
すぐに思い浮かんだのは、莉々子が乗り込んだ見合いの席にいた相手の女性だった。どんな相手なのかは知らないが、政略的な結婚とはいえ、もしかしたら奏多に想いを寄せていたかもしれない。
考えられる可能性は、もちろん彼女だけではない。奏多に憧れている女性は、ほかにいくらでもいるだろうから。
莉々子を恨んでいる相手がわからないだけに恐怖がじわりじわりと募っていく。
「莉々子の身にこれ以上危険が及ぶことは、どうしても避けたかった。……でも、今回のことでそれが間違いだったとよくわかったよ。俺は莉々子をほかの誰にも渡したくない。莉々子が誰かのものになることを考えるだけで、頭がおかしくなりそうだった」
「奏多……」
莉々子を引き寄せた奏多が腕の力を強める。
「莉々子は俺が必ず守る。だから莉々子はなにも心配しないでいい」