俺様社長に甘く奪われました

「アイツの気持ちがわかった気がしたよ」


 唇を離して奏多が呟く。


「……アイツって、祥真のことですか?」
「ああ」
「莉々子との別れを選ぶしかなかった気持ちがね」


 親の決めた相手と結婚するために、莉々子をひどい言葉で傷つけるしかなかった祥真。彼への想いを消し去るために彼女にぶつけた言葉は、祥真の最後の優しさだった。
 奏多もまた、莉々子を想うがために『面倒になった』と別れる道を一度は選んだ。

 上体を起こし、奏多が莉々子に身体を重ねる。


「だが、もう惑わされない。だから二度と、ほかの男の名前を呼ぶな。いいな?」


 熱い視線を注ぎ、莉々子の下唇を親指でなぞる。小さくうなずいた途端、押し当てられたのは熱を持った唇だった。

(私も、もう二度と奏多と離れない……)

 そんな想いをキスに乗せて彼に伝えた。

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