俺様社長に甘く奪われました
「莉々ちゃん、もしかして……社長とよりを戻したの?」
「あ……はい……」
今回のことを知っているのは、真紀と祥真だけ。志乃には、前回のときに心配をかけてしまったから言わずにいたのだ。
志乃なら誰かに漏らすことは考えられないから、白状しても平気だろう。
「……そうだったんだ」
志乃は放心したように呟いて、さらにしばらくしてから「よかったわね」と祝福してくれた。
「ご心配をかけて、いろいろとすみませんでした」
「ううん、そんなことはなんでもないことだから」
そう言って志乃は優しく微笑み、飲みかけのロゼを一気に喉に流し込んだ。
そうして二時間が過ぎた頃、今度は真紀のスマホに着信が入った。
「……え? お父さんが怪我!? ……うん、わかった」
小声で話していた真紀が突然声を荒げる。父親が怪我ではただごとではない。