俺様社長に甘く奪われました
「備品の手配は大丈夫でしたか?って。それで、聞いてみたんですよ。キャンセルの連絡を誰からもらったのか。そうしたら、莉々子さんの名前でした」
「えっ、私? そんな電話を私がするはずないじゃない」
発注担当者の莉々子が、わざわざキャンセルをするわけがない。自分で自分の首を絞めるようなものだ。
「わかってますって。だから、その電話ももしかしたら……志乃さんだったんじゃないかって」
松永は言いにくそうにしながらも、志乃の名前を口にした。
確かにそれは考えられることかもしれない。備品業者がどこなのかを知っているのは、総務部のメンバーだけ。その中でも彼女しかいないから。
だとしたら、ケータリングのキャンセルも志乃がしたのかもしれない。
「それと、もうひとつ……」
松永が人差し指を立てた。
「莉々子さんが怪我をしたコーヒーカップ。あれも、今となって思えば……」
最後には言葉を濁す。