俺様社長に甘く奪われました
(私の名前、知っていたの……?)
莉々子が不思議そうな目を望月に向けると、彼が自分の口に人差し指をあてて“しっ”という仕草をする。どこかいたずらっぽい色をにじませた目に、莉々子はドキッとする。
仕方なしに口をつぐみ、莉々子は彼にされるがままになった。
(いったいどうなっているの……)
ラウンジを出ても手はつながれたまま。痛みを感じるわけもないのに背中がヒリヒリと焼けつくような感覚がするのは、さっきの三人が莉々子をじっと見つめているからにほかならない。
乗り込んだエレベーターの扉が閉まったところで、ようやく莉々子の手は解放された。
「……あの方たちのこと、よろしかったんですか? お知り合いなんじゃ……?」
「一方的な知り合い」
切り捨てるように答えた望月は、エレベーターの壁にもたれて腕を組んだ。長い足を軽く交差させる。
「……一方的、ですか?」
「追いかけ回されてるだけだから、名前すら知らない」
(それはつまり……“おっかけ”なのかな。そんな存在までいるなんて……。やっぱり社長は違うな……)