俺様社長に甘く奪われました
「なにか不満か?」
「はい?」
「今、ものすごく深いため息を吐いただろ」
望月の目が険しくなる。
「い、いえっ、気のせいです」
無意識のため息が、気づかずに漏れてしまったのだろう。
そうこうしているうちにひとつ下の階でエレベーターが止まり、扉が開く。降り立った望月のあとを追うと、とんでもない光景が莉々子の目の前に広がった。毛足の長い絨毯には美しい模様が描かれ、天井が高く広い通路には絵画が飾られている。
「……どちらへ行かれるんですか?」
スタスタと歩くその背中に声を掛けると、「部屋を取ってるんだ」とあっさりと答える。
(部屋って……)
当然ながら変な想像をして身構えてしまう。
「ほら、行くぞ」
茫然と立ち尽くしていると、望月が振り返る。片手をポケットに入れ、目線だけ部屋のほうへ流した。