俺様社長に甘く奪われました
「莉々子が考えているようなことをするつもりはないから安心しろ。飲み直したいから付き合ってもらうだけだ」
「そ、そうです……よね……」
(私ときたら、なにを考えているんだろう。望月社長が私をそんな目で見るはずがないのに)
望月と自分ではレベルが違うのだ。大企業のトップが、目立たない事務職の社員に手を出すはずがない。
「ここだ。入れ」
カードキーをかざした望月が扉を開けた。
ミツバチが甘い香りに誘われるように、その奥から発せられるゴージャスなオーラに吸い寄せられるがごとく莉々子の足がふらふらと前へ出る。そして、中へ入った彼女の口からは自然と「わぁ」という感嘆の声が漏れた。
とてつもなく広いスペースにリビング、ベッドルームがゆったり贅沢に配置され、アートや高級そうな調度品で演出された部屋はエレガントな雰囲気で満ち溢れている。天井までの大きな窓の向こうにはインナーバルコニーまであった。
三十五階のラウンジが最上階ということは、ひとつ下の階のここは三十四階。つまり部屋の中では最上階なのだから、ここはこのホテルの最高ランクの部屋だ。きっとスイートルームに違いない。