俺様社長に甘く奪われました
「うまいだろ」
「はい。まろやかで口あたりがすごく優しいです」
ここまでおいしいシャンパンを飲んだのは初めてだ。
「なんていうシャンパンですか?」
「ドンペリ」
これが噂のドンペリかと莉々子は目を丸くする。かの有名なドンペリを飲むような事態に遭遇するとは思いもしなかった。シャンパンのことは全然詳しくないが、いったいいくらするのだろうか莉々子は下世話なことを考える。
「すごく高そうですね」
「いや、それほどでもない。一本十五万円だ」
「じゅ、十五万円……」
あっさりと言いながらチーズを口に運ぶ彼を見て、莉々子は目を剥いてしまった。
十五万円では桁が違いすぎる。予想以上に高級な飲み物の入ったグラスを持つ彼女の手が震える。
よくよく考えてみれば、この空間にあるものすべてが庶民ではとうてい手の届かないものばかり。莉々子ひとりが仲間はずれだった。
「どうした。飲まないのか?」
「あまりにも高価すぎて……」