俺様社長に甘く奪われました

 一本十五万円だとしたら、このグラス一杯でも一万円くらいだ。


「遠慮するな。さっき助けてもらったから、その礼だ」
「そ、そうですか……?」


(そこまで言うのなら、いいんだよね?)


「……では、いただきます」


 こんな機会はめったにあるものではない。せっかくだからじっくりと味わうことにしようと莉々子は腰を据える。


「ところで、社長はどうしてラウンジでピアノを弾いていらしたんですか?」


 副業ではないだろうが、すごく様になっていたから、たまたま今日だけというわけでもなさそうだ。


「たまに息抜きで。ここの副社長とは高校時代からの友人なんだ」


 望月はそう言いながら長い足を組み直し、背もたれにゆったりと身体を預けた。
 友達のホテルということもあり、プロ顔負けの腕前を見込まれてたまに弾いてほしいとお願いされているそうだ。社長だけあって、交友関係も同クラスだとはさすがだと思わずにはいられない。

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