俺様社長に甘く奪われました
望月が弾いていたシーンを思い返す。セクシーな横顔を思い出して、不本意にも莉々子は胸を高鳴らせた。
(それにしても本当においしいシャンパンだな……)
喉をツツツと通ってしまうから、つい莉々子のピッチが早くなる。
彼女のグラスが空になると、望月が三杯目を注いだ。
「社長はいいですね。いつもこんなに贅沢な部屋で高級シャンパンを楽しんだりして。お金も地位もある上にピアノまで弾けるイケメンなんて、世の男性から恨まれそうですね」
おいしいシャンパンのせいか、莉々子は望月を相手にしているというのについ軽口を叩いてしまう。ただ、彼の身の上が羨ましいことに間違いはない。
「なにも順風満帆できたわけじゃない」
望月が謙遜する。自分の会社に勤める社員を前にして、自慢げに『そうだろう?』と言えなくて当然だ。
「ですが、日本屈指の総合商社である朝菱商事のグループ会社で社長をしている時点で私のような庶民とは違います」