俺様社長に甘く奪われました

「私、帰ります」


 だから金持ちは嫌なのだと、莉々子は苦い思いが込み上げた。人の心をなんだと思っているのか。いくら庶民だからといって、心までおもちゃのように扱うなんて最低だ。
 三年前に振られたときのことが一気に思い出され、莉々子は息が苦しい。

『最初からそれほど好きでもなかった』

 あのときの言葉まで蘇り、胸が詰まるように痛い。

(……やだな、三年も経ってるのに)

 バッグを持ってドアへ突き進むと、「莉々子、待て」と後ろから望月に手を取られた。


「放してください」


 莉々子が力任せに引いても、望月の手が外れない。


「悪かった」
「……やめてください」
「ほんとに悪かった」


 グイと強く手を引かれ、莉々子が望月に向き直させられる。


「……おい、なんで泣いてるんだ」

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