俺様社長に甘く奪われました

 そう言われて初めて、莉々子は自分が泣いていることに気づいた。慌てて手で拭うと同時に、なぜか望月の腕に抱き込まれてしまった。


「社長……?」
「頼むから泣くな……」


 絞り出すような声だった。

 三年前のあの夜と同じだった。涙が溢れて止まらない莉々子を抱き締めたあの夜と。
 あまりにも長い時間、腕を緩められる気配がないので、莉々子が「もう泣いていませんから」と言うと、望月はようやく彼女を解放した。確かめるように顔を覗き込む彼の目が、やけに切なく揺れる。

 ひどいことをしたのは望月なのに、莉々子のほうが申し訳ない気持ちになる。


「なんだか……ずるいです」


 正直に不満をぶつけると、望月は訝るように軽く小首を傾げた。なにが?と言っているように見える。


「社長が笑えないジョークで私をからかったのに、傷ついたような顔をするなんて」


 莉々子がそう言うと、望月はその表情をフッと和らげた。

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