俺様社長に甘く奪われました

 そう言いながら、向かいの席のパソコンの横から顔を覗かせる。

 なんだろうかと思いつつ「……私?」と莉々子が自分の胸を指差すと、松永は首を傾げながらうなずいた。受話器を置いた彼が「莉々子さん、ご指名ですよ」と意味深に笑う。


「……誰の?」
「社長です」
「え!?」


 思わず床をポーンと蹴り、その反動でキャスター付きの椅子がデスクから遠ざかる。莉々子は、またもやみんなの注目を集めてしまった。


「ど、どうして指名なんて」
「そんなの知りませんよ。なんか、この前頼んだチケットがどうとか言っていましたけど」


 チケットならば、発券して秘書の上田に渡したはず。便の変更でもあったのだろうか。


「わかりました。行ってきます」


 社長室へ行くことは気が乗らないが、仕事ならば話は別。

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