俺様社長に甘く奪われました
彼のせいでクマができたわけではないが、化粧直しをしにいけなかったのは半分望月の責任だろう。
「ずいぶんな言いがかりだな」
望月はデスクで両肘を突いて莉々子をじっと見据えた。目の端には笑みが浮かぶ。
「どうしてストッキングなんて……」
莉々子が一番言いたかったことはこれだ。クマはこの際、置いておこう。
「連絡先を知らないんだ。直接持っていくしかないだろう」
望月は不満そうに顔をしかめた。そうしてもなお端正な顔立ちが崩れないことに感心してしまう。
「それはそうなのですが……。でも、届けるようなものではないと思うんです。そのままホテルのゴミ箱に捨ててくれれば……」
普通はそうするものではないのだろうか。新しいものならまだしも、脱いだストッキングだ。莉々子が懸命に説明する。
「金持ちは嫌いだと言っておきながら、自分の物を捨て置くというのは論理的におかしいな」