俺様社長に甘く奪われました
「俺みたいな男が嫌いだとかいう考えを改めさせるって話したのを忘れたのか?」
言われてみればあのとき、なんだか妙な話になったような気はする。
望月が視線を鋭くさせて莉々子を威嚇するようにしたものだから、思わず背筋が伸びる。望月の視線には、抗えない力があるように思えてならない。それはときに優しく、ときに甘い。だから三年前のあの夜も、莉々子は望月の手に導かれるまま車に乗り、唇を合わせ、身体を重ねた。
「その人自身の本質を見ないで、そういったくくりで判断することは嫌いだ」
嫌いと言われることは、相手が誰であっても多少なりともダメージがあるようだ。莉々子が言葉に詰まっていると、望月はクスッと笑ってから呆れたようにため息を吐いた。
「ともかく俺と付き合って、そんな屁理屈を言えないようにしてやる」
「は、はい!?」
「それもこの前の夜話しただろう。覚えていないのか」
望月の言葉に莉々子がうろたえる。まったくもって現実味がなかったのだ。