俺様社長に甘く奪われました

「……そ、それはその……そうだったんですが、その彼のおかげでまたできるように……」


　明らかにおかしな言い分だ。莉々子は自分でもどうしたらいいのかわからなくなった。自分の言っていることがちぐはぐで、どうにも収拾がつかない。


「それじゃ、その彼氏とやらに会わせてもらおう」
「……はい？」
「その場しのぎの嘘ということもある」


　完全にばれているではないか。


「う、嘘じゃないです」


　嘘に嘘を重ねる。おかげで莉々子の唇は震えていた。


「それならば紹介できるだろう？」


　なにかを企むように望月が目を細める。見つめ合った視線にパチッと火花が飛び散った気がした。


「……わかりました」


　了承するよりほかになかった。