俺様社長に甘く奪われました

「松永くんも、私が恋愛はもう懲り懲りで、お金持ちのイケメンが苦手なことは知ってるでしょ?」
「……はい、まぁ」


 莉々子は以前、恋愛の話になったときに松永にもそんな話をしたことがあったのだ。
 松永はうなずきながらも不審そうに眉をしかめる。


「社長の友達だったら絶対にお金持ちに決まってると思わない? 私、そんな人を紹介されても困るなぁと思って、咄嗟に『彼氏がいます』って言ったの。そうしたら『それじゃソイツを紹介してみせろ』って」


 あたふたとしながらも莉々子はなんとか偽りの説明をする。松永がどんな反応をするのか不安で、少し俯きながら彼の様子を窺った。


「……なんか腑に落ちませんね」


 松永が腕を組んで首を捻る。


「え? なにが? どのへんが?」


 ギクッとしながら莉々子が聞き返す。次々と質問をぶつけるあたり、ますます挙動不審だ。

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