俺様社長に甘く奪われました
「かしこまりました」
エレベーターの前に彼女がいたのは、早いところ帰りたかったからだろう。
社長室の施錠は階下の警備室に依頼することとなり、莉々子はひとり社長室へと入った。室内は、蛍光灯が二本切れていた。念のために三本持参していたので、それで事足りそうだ。
設置した脚立に危なっかしい足取りで上り、切れた蛍光灯を外しては下りる。そうして新しいものを持って脚立に上ったときだった。
誰も入ってこないだろうと思っていた社長室のドアがいきなり開いたものだから、驚いた弾みで蛍光灯が莉々子の手から滑り落ちていく。あ!と思ったときには、室内にパリン!という軽い破裂音が響いた。
彼女が慌てて脚立から下りると同時に「莉々子?」という声が耳に届く。
まさかの望月の登場だった。
「大丈夫か?」
「申し訳ありません! すぐに片づけますので!」
大急ぎで総務部から掃除用具一式を持って莉々子が戻ると、なんと望月が素手で蛍光管を拾っていた。
「社長! 私がやりますから!」